坂元裕二の描く複雑な世界観を寸分の狂いもなく立体化するのが、実力派女優たちの圧倒的な表現力だ。なかでも松たか子と満島ひかりの二人は、坂元劇の美学を体現する双璧といってよい。
『カルテット』での共演はもちろんのこと、松たか子は『大豆田とわ子と三人の元夫』において、失敗を重ねながらも逞しく生きる主人公の愛おしさと滑稽さを完璧に演じ分けた。一方の満島ひかりも、台詞の行間にある切なさや感情の揺らぎを、繊細な身体表現と声のトーンで表現してみせる。
坂元自身、彼女たちの声の響きや呼吸感を想定して本を書いている節がある。脚本家と俳優が互いの才能を触発し合う関係性が、奇跡的な名シーンの数々を爆発させているのだ。