直系の息子が存在しない以上、関心が集まったのは「次の世代へ誰が地盤を引き継ぐのか」という点だ。ここで脚光を浴びたのが、安倍氏の実弟である岸信夫元防衛相の長男、岸信千世氏である。
フジテレビの記者を経て政界入りを果たした信千世氏は、叔父にあたる安倍氏の政治的遺伝子を継ぐ存在として注目された。しかし、かつて彼の公式サイトに掲げられた巨大な家系図は、「世襲政治の象徴」として世論の激しい批判を浴びる事態にも発展した。
自由民主党の強固な組織力と地盤に支えられ、補欠選挙を勝ち抜いて衆議院議員となったものの、実子ではなく「甥」への継承劇が浮き彫りにしたのは、血縁頼みの政界構造に対する有権者の冷ややかな視線であった。