未知の標高へ人類が初めて足跡を刻んだのは1953年5月29日のことだった。ニュージーランド出身のエドモンド・ヒラリーと、シェルパのテンジン・ノルゲイによる初登頂の報は、エリザベス2世の戴冠式当日に世界へ配信され、冷戦期の暗い影を吹き飛ばす偉業として語り継がれた。
二人が立った山頂は、単なる登山家の目的地から、自然ドキュメンタリーや科学調査の最前線へと変化していく。ナショナル ジオグラフィックをはじめとする国際的メディアは、過酷なデスゾーンに高精度な気象観測ステーションを設置する学術遠征隊を幾度も支援してきた。氷河の融解速度や超高高度における気流の乱れを捉えた山岳ドキュメンタリーは、気候変動が世界の屋根に及ぼす影響を生々しく世界に告発し続けている。