関係者への取材および所属事務所の公式発表によると、八代亜紀さんの体調に異変が生じたのは2023年8月下旬のことでした。複数の医療機関を受診した結果、自己免疫の異常によって全身の組織に炎症を引き起こす膠原病(こうげんびょう)を発症していることが判明。同年9月に年内の活動休止を公表し、静養と本格的な治療へ専念する決断を下しました。
復帰へ向けた本人の意志は極めて固く、病床にあっても「また皆様の前で元気に歌いたい」と前向きな言葉を周囲に漏らしていたと伝えられています。しかし、病勢は非情な速度で進行しました。基礎疾患である膠原病に伴い、肺胞の壁が急速に繊維化して硬化する急速進行性間質性肺炎を併発。呼吸機能の著しい悪化に対し、懸命な医療的処置が続けられたものの、病状の急激な悪化に歯止めがかからず、2023年12月30日に73歳で旅立ちました。
医療現場の専門医が指摘するように、膠原病(特に抗MDA5抗体陽性の皮膚筋炎など)に合併する急速進行性間質性肺炎は、既存のステロイドパルス療法や免疫抑制剤への抵抗性が極めて高く、週単位・日単位で呼吸不全が深刻化する難治性の病態です。八代亜紀さんの死因となったこの疾患は、早期発見や高度治療を尽くしてもなお制御困難な凶悪性を秘めており、彼女の闘病の経緯がどれほど過酷なものであったかを物語っています。