もう一人のヒーローであるゴンは、凪に「無条件の肯定」を与えた。彼の優しさは、張り詰めていた凪の心を溶かす一方で、すべてをダメにする「沼」でもあった。ゴン自身が凪への本物の恋に気づき、一途な男へと変化していくプロセスは胸を打つものがあった。
しかし、ゴンの隣に居続けることは、凪にとって「心地よいぬるま湯」に浸かり続けることと同義だった。自立を目指す凪にとって、ゴンの全肯定は時に成長を阻む甘い毒薬になり得た。ゴンとの別れは、彼が「まともな人間」に成長するきっかけを与え、凪には「自分の力で立つ」覚悟を決めさせた。