ネット上の掲示板やSNSで定期的に浮上するのが、「あまりの過激さにクレームが殺到し、途中で打ち切りになったのではないか」という打ち切り疑惑です。しかし、制作関係者の証言や当時の放送スケジュールを精査すれば、打ち切り説は事実無根のデマであることが明確に分かります。
アニメ全12話は、以下のように緻密に計算された「オムニバス(並行世界)形式」で最初から計画されていました。
- 一葉ルート:第1話〜第4話(共通ルートから渚一葉の告白と結末へ)
- 瑛ルート:第5話〜第6話(天女目瑛が抱える出自の重荷と救済)
- 梢ルート:第7話〜第9話(依媛奈緒ルートへの導入とクラスメイト視点)
- 奈緒・穹ルート:第10話〜第12話(過去のトラウマの精算から、穹との決定的結末へ)
原作ゲームが複数のヒロインと結ばれるノベルゲームである以上、単一のヒロインだけを描けば他のファンを失望させてしまいます。そこで制作陣は、物語がある地点まで進むと時間を巻き戻し、別のヒロインとの可能性を描くオムニバス構成を採用しました。これが一部の初見視聴者に「急に話がリセットされた」「制作が破綻して打ち切られた」と誤認された主因です。
そして問題のアニメ最終回(第12話)ですが、湖での水難事故を思わせる衝撃的なシークエンスから、一転して海外行きの列車の中で手を取り合う悠と穹の姿が描かれます。この結末には当時「死後の世界を描いた心中エンドではないか」という悲観的解釈と、「世間の目を逃れて海外へ渡った現実逃避行エンド」という解釈の2つが提示され、激しい議論が巻き起こりました。
のちに公式ファンディスクとして発売された『ハルカナソラ』や各種オフィシャルインタビューの描写を照合すると、2人は社会的な繋がりを捨て、北欧の地で兄妹として、そして恋人として共に生き抜く道を選択したという解釈が正統とされています。絶望の底から手を取り合って境界を越えたあの幕切れこそが、本作が単なるスキャンダルを超えて語り継がれる決定的な理由です。