「すりおろしりんごは整腸作用があるから、下痢でも便秘でもどちらにも効く」——この通説は正しいが、しばしば「量に関係なく効く」という誤解を生む。実際には過量摂取(1度に200g以上など)は果糖や有機酸の過剰により、かえって腹部膨満感や浸透圧性下痢を引き起こすリスクがある。「薬も過ぎれば毒」の原則はすりおろしりんごにも当てはまる。
次に「変色したすりおろしりんごは食べられない」という誤解。前述の通り、酵素的褐変は酸化反応であり腐敗とは全く異なる。すりおろし後30〜60分以内であれば、風味や栄養の一部が変化しているものの、食べること自体に問題はない。ただし異臭や粘り気がある場合は腐敗のサインなので廃棄すること。
さらに「皮を剥かないと農薬が心配で食べられない」という声も多い。確かに国産りんごの農薬使用は決して少ないとは言えないが、流水で30秒以上しっかり洗浄したうえで使用すれば、残留農薬の大部分は除去される。ただし皮ごとすりおろす際に気になる人は、有機・無農薬栽培のりんごを選ぶか、皮を剥いて使用するのが現実的な選択だ。皮にはポリフェノールが果肉の約2〜5倍以上含まれることも考慮した上で判断してほしい。
「冷凍すると栄養がなくなる」という誤解も根強い。冷凍による栄養損失はごくわずかで、ビタミンCは10〜15%程度の損失に留まる。ペクチンや糖類、ミネラルはほぼ変化しない。むしろ冷凍によって細胞壁が壊れるため、解凍後のペクチンの溶出効率が上がるという利点すらある。