日本におけるミュージカル『レ・ミゼラブル』の輝かしい歴史は、東宝の情熱と帝国劇場という特別な舞台によって刻まれてきた。1987年の日本初演以来、厳格なオーディションを勝ち抜いた圧倒的なキャスト陣が、世代を超えて熱い魂を継承してきた。演劇業界において本作は単なる人気演目ではなく、ミュージカル俳優たちが目指すべき最高峰の頂として君臨し続けている。
一方で、トム・フーパー監督が手がけた映画『レ・ミゼラブル』は、全編現場ライブ録音という規格外のアプローチで映画業界を揺るがした。役者たちが撮影現場で実際に歌った生々しい歌声は、息遣いや震える吐息までを映像に焼き付け、観客の感情をダイレクトに揺さぶる。舞台特有の象徴的な演出美と、映画ならではの圧倒的なリアリズム。二つの表現形式を比較することで、物語に込められたテーマはより多層的な深みを増す。