職場のパフォーマンスを高める要素として注目される「心理的安全性」だが、これが失われた職場では評価の歪みが一気に加速する。組織心理学の観点から見れば、上司と部下の人間関係において双方が安心感を持てない状態こそが、相互不信の温床だ。
上司もまた一人の人間であり、自分の管理能力や立場を脅かす存在に対しては防衛本能が働く。部下が無意識に見せる「上司を軽視する態度」や「指示に対する懐疑的な視線」は、上司の心理的安全性をダイレクトに破壊する。その結果、上司は無意識のうちにその部下を「扱いづらい人物」として遠ざけ、重要な案件から外したり厳しく当たったりする悪循環に陥るのだ。
上司と部下の人間関係は、単なる命令と服従の関係ではない。お互いの心理的負荷を軽減し合える信頼の器があってはじめて、本来の業務能力が正当に評価される基盤が完成する。