1988年秋、日本のテレビ史に残る大きな地殻変動が起こる。テレビ東京が社運を賭けて立ち上げた本格派の経済ニュース番組『ワールドビジネスサテライト』の初代メインキャスターへの就任である。当時、キー局の中でも独自路線を模索していたテレビ東京系列において、女性が単独で経済報道の顔を務めることは画期的な挑戦だった。
バブル景気の絶頂期、市場の熱気と国際金融の構造変化を伝える彼女の語り口は、従来の堅苦しい報道ジャーナリズムの殻を打ち破った。難しい経済用語を平易な言葉に噛み砕き、視聴者の目線まで引き下ろすプレゼンテーション能力。スタジオの空気を一瞬で引き締める鋭い眼光。彼女が築いたWBSのフォーマットは、その後の日本の夜の報道番組における女性キャスター像の決定的なスタンダードとなった。