『おジャ魔女どれみ ドッカ~ン!』の最終回(第51話「ありがとう!また会う日まで」)において、どれみたちは魔女になるための資格をすべて満たしながら、自らの意志で魔女になることを辞退し、普通の人間として生きる道を選択しました。女児向け魔法少女アニメの歴史において、主人公全員が魔法を手放して幕を閉じるというこの結末は、当時極めて異例であり、現在もなお語り継がれる伝説のクライマックスです。
彼女たちが魔法を捨てた最大の理由は、「魔法を使っても、人の心や人生の本当の苦しみは変えられない」という真理にたどり着いた点にあります。シリーズを通してどれみたちは、両親の離婚問題、友人の病気、不登校、親子のすれ違いなど、魔法では決して根本解決できない現実の壁に幾度となく直面してきました。魔法に頼ることで一時的なごまかしはできても、人間が前に進むためには、自らの言葉と意志で傷つきながら対話するしかないと悟ったのです。
さらに決定的な要因となったのが、「人間と魔女の寿命の違いによる永劫の別れ」という残酷な構造でした。先代女王様が深い哀しみに沈み、人間界への扉を閉ざしてしまった原因は、愛する人間の夫や子どもたちに先立たれ、永遠の命を持つ魔女として取り残されたトラウマにありました。もしどれみたちが魔女になれば、愛する両親や人間界の友人たちとは異なる時間を生きることになり、やがて全員を見送らなければならない孤独を背負うことになります。どれみたちは、限りある命だからこそ今この瞬間を生きる仲間と共に歩みたいと願ったのです。
最終回当日、美空第一小学校の卒業式でどれみはMAHO堂に立てこもり、クラスメイトとの別れを恐れて涙を流します。しかし、仲間たちの呼びかけによって扉を開き、自らの足で卒業証書を受け取りに向かいました。この一連の描写は、「子どもの時間の終焉を受け入れ、喪失の痛みを抱えながらも大人への一歩を踏み出す」という、発達心理学における通過儀礼を完璧に描き切った名場面として絶賛されています。