放送終了から長い年月が経った今なお、『大恋愛〜僕を忘れる君と』が色褪せない最大の要因は、脚本家・大石静が紡いだ緻密な人間ドラマと、主演二人の演技が起こした奇跡的な化学反応にあります。
物語の主軸となるのは、若年性アルツハイマー病の前頭側頭型認知症の兆候を抱える女医・北澤尚(戸田恵梨香)と、彼女の主治医となるエリート精神科医との婚約を破棄してまで飛び込んだ、引越し業のアルバイトをしていた元小説家・間宮真司(ムロツヨシ)の純愛です。記憶が徐々に失われていく過酷な運命のなかで、真司は尚との日々を小説に書き留め、小説家として再起を果たします。大恋愛 あらすじと結末を振り返ると、単なるお涙頂戴の難病ドラマにとどまらず、二人が愛を確かめ合い、息子をもうけ、やがて最期を迎えるまでの軌跡が、人間の尊厳と生の肯定として丁寧に描かれていました。
反響がやまない理由の1つ目は、「コメディの鬼才」ムロツヨシが見せた、どこまでも切なく包容力に満ちたシリアスな演技です。従来のコミカルなパブリックイメージを覆し、愛する人の忘却に苦悩しながらも微笑み続ける真司の姿は、視聴者の心を強く揺さぶりました。
2つ目は、感情の機微を極限までリアリスティックに表現した戸田恵梨香の表現力です。知的で誇り高い女性医師が、自分自身をコントロールできなくなる恐怖や絶望、そして真司に向ける無垢な笑顔のコントラストは、放送当時「神がかった演技」と批評家筋から絶賛されました。
そして3つ目が、back numberが手掛けた主題歌『オールドファッション』の存在です。「僕には君が必要なんだ」というメッセージを、ドーナツのオールドファッションに例えて泥臭く歌い上げた同曲は、ドラマのクライマックスで幾度となく涙腺を刺激しました。ストリーミング総再生数は数億回を突破し、2026年現在も失恋や大切な人を想う楽曲として定着しています。