ネット上には「48番目の県」を巡って、いくつかの興味深い都市伝説や誤解が流布しています。単なる思い込みとして切り捨てるのではなく、それらの噂が生まれた背景を検証すると、日本の領土問題や特殊な行政事情が浮かび上がってきます。
まず代表的なのが「北方領土・48番目の県説」です。北海道の根室半島沖に位置する北方四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)について、「北方領土が返還された暁には、北海道から独立して48番目の県になるのではないか」という言説がネット掲示板などで語られることがあります。しかし現行法制上、北方領土は北海道根室振興局の管轄下にあり、返還されたとしても北海道の一部として扱われるのが法的な規定です。独立した県を新設する構想は政府レベルでは存在しません。
次に挙げられるのが「東京23区・特別区の県格上げ論」です。「東京都の特別区(23区)は人口900万人を超えており、実質的に1つの県に匹敵するため、東京都から分離して48番目の県になる」という議論です。確かに地方自治法上、特別区は「基礎的地方公共団体」でありながら一般の市とは異なる特例措置がとられています。しかし、区をまとめて「都」と同格の「県」に再編する法案が具体化した事実はなく、あくまで行政学上のシミュレーションに過ぎません。
また、「小笠原諸島や佐渡島の独立県論」も挙げられます。かつて米国統治下から1968年に本土復帰した小笠原諸島や、広大な面積を持つ新潟県佐渡島などが、離島振興の文脈で「独立した県格を持つべきではないか」と語られることがありますが、これも行政実務上の正式な提案には至っていません。