甲子園にまつわる音楽を語る上で欠かせないのが、春と夏における楽曲の役割と選考プロセスの違いです。春のセンバツ高校野球で使用される甲子園入場行進曲と、夏の選手権大会を彩るテーマソングでは、その成り立ちが大きく異なります。
春の選抜大会の行進曲は、前年に日本国内で最も広く親しまれた大ヒットポップスの中から選考委員会によって選ばれます。吹奏楽用にアレンジされた親しみやすいメロディが、開会式のグラウンドを行進する球児たちの足元をリズミカルに支えるのが特徴です。
一方で夏のABC夏の高校野球応援ソングは、大会そのもののために書き下ろされるオリジナル楽曲が基本です。春が「国民的ヒット曲の祝祭」であるのに対し、夏は「球児の青春ドラマを描くオーダーメイドの叙事詩」という明確な棲み分けがなされています。