『亜人』の凄まじい臨場感を語るうえで外せないのが、プレスコ(プレスコアリング)方式による音声収録です。
日本のアニメ制作では、完成間近の映像(絵コンテや線画)に合わせて声を当てる「アフレコ」が主流ですが、『亜人』ではアニメーションを作る前にまず声優陣の演技を収録するプレスコが全面採用されました。
プレスコ最大の強みは、尺(タイムコード)の制約を受けず、役者が自然な呼吸や感情のスピードで掛け合いを行える点にあります。
収録現場では、宮野真守や大塚芳忠らが舞台劇さながらにフェイス・トゥ・フェイスで激しい心理戦を展開。台本にない微細なため息、言葉に詰まる間合い、重なり合う怒号などがそのまま録音されました。アニメーション制作チームは、その声の芝居からテンポや表情の動きを逆算して3Dモデルの挙動を構築したため、従来のCGアニメとは一線を画す「生身の人間の生々しさ」が宿ることとなったのです。