ぼんじりは、鶏の尾羽の付け根にある突起部分の肉であり、運動量が多いため筋肉が引き締まっている一方、羽を動かすための脂肪が豊富に蓄積されています。その脂質含有量は可食部100gあたり約40〜45%に達し、鶏もも肉(皮つきで約14%)と比較しても圧倒的な濃厚さを誇ります。この濃厚な旨味がぼんじりの最大の魅力ですが、無処理のまま加熱すると耐えがたい異臭を放つケースがあります。
その臭みの正体こそが、ぼんじりの先端付近に左右一対で存在する分泌腺「油壺(尾脂腺/びしせん)」です。鳥類はこの器官から分泌される脂ワックスをくちばしで全身の羽に塗り、撥水性と柔軟性を保っています。この油壺内部の脂質は酸化しやすく、特有の青臭さや獣臭、苦味成分を濃厚に含んでいるため、一般的な加熱調理では不快な風味として全体に広がってしまいます。
一部の愛好家の間では「油壺こそが濃厚な珍味」と語られることもありますが、一般的な家庭料理や焼き鳥店においては「完全に除去するのが鉄則」とされています。油壺が残った状態では、どれほど上質な調味料を使っても雑味を消すことはできません。さらに、ぼんじりの中心には逆T字型または三角形の硬い尾骨(軟骨および小骨)が埋まっており、これらを丁寧に取り除くことが口当たりの良さを決める決定打となります。