かぎしっぽ猫が世界中で特別な存在として愛されてきた背景には、東西の歴史と文化が織りなす興味深い伝承が存在します。スピリチュアルや迷信の枠を超え、人々と猫が歩んできた共生の歴史がその価値を裏付けています。
ヨーロッパにおける「富と幸福を引っかける鍵」の伝承
ヨーロッパ各地、特にイギリスやオランダなどでは、曲がったしっぽが「富の扉を開く鍵」あるいは「幸運をひっかけて逃さないフック」の形状に似ていることから、金運を呼び込む守り神として大切にされてきました。特に航海時代、船内にネズミが持ち込む疫病や食料被害を防ぐため、乗船させた猫にかぎしっぽが多いと「嵐を避けて無事に財宝を持ち帰ることができる」と船乗りたちの間で重宝された記録が残されています。
長崎・出島から全国へ広がった「尾曲がり猫」の歴史
日本国内におけるかぎしっぽの歴史を語る上で欠かせないのが、長崎県の存在です。長崎県内に生息する猫の約8割近くが尾曲がり猫(かぎしっぽ)であるという調査データは広く知られています。
江戸時代の鎖国下、長崎・出島に出入りしていたオランダ船に乗せられていた東南アジア原産の猫たちが、日本に上陸して定着したのが発端とされています。当時の日本では、長くて真っ直ぐなしっぽを持つ猫は年老いると「猫又(二股に分かれた妖怪)」になると恐れられていたため、最初からしっぽが曲がっている、あるいは短い猫は「化けない安全な猫」として庶民に歓迎され、大切に飼育されたという民俗学的な背景があります。