かつて一世を風靡したGL工法ですが、現在の新築分譲マンションでは戸境壁(隣戸との境になる壁)への採用が激減しています。「なぜ使われないのか」という疑問の背景には、居住性能に関する2つの構造的欠陥が存在します。
第1の理由は、「太鼓現象(共鳴透過現象)」による戸境壁の遮音性能低下です。コンクリート躯体と石膏ボードの間にできるわずかな中空層が太鼓の胴のような役割を果たし、特定の低音域(テレビの重低音、人の話し声、足音など)が共鳴して増幅されます。本来ならコンクリート単体で防げるはずの音が、石膏ボードを貼ったことで逆に隣室へ透過しやすくなり、深刻なマンションの隣戸騒音トラブルへと発展するケースが多発しました。
第2の理由は、GLボンドを媒介とした結露とカビの発生リスクです。外壁に面するコンクリート壁にGL工法を用いた場合、外気で冷やされたコンクリートの熱が接着剤の団子を通じて石膏ボードへ直接伝わります。この熱橋(ヒートブリッジ)によって壁紙の表面や裏側に局所的な結露が生じ、長期間放置されることで壁紙内部に黒カビが繁殖する原因となります。