原宿の路地裏に店を構える「CRAFT SQUASH LAB」の店主・佐藤氏の手元に視線を落とすと、そこには見慣れた黄色のシロップボトルはない。代わりに並ぶのは、和歌山県産の無農薬レモン、自家製の発酵生姜、そして特注のスパイスミルだ。「昔ながらの味も素晴らしいですが、今の消費者が求めているのは本物の果実感と奥行きのある立体的な味わいです」と佐藤氏は語る。
かつて缶入り飲料やファミレスのドリンクバーで親しまれた味覚が、職人の手仕込みによって再定義された。手で一つ一つ果汁を絞り、皮のオイルを丹念に抽出して作られるシロップは、ひとくち口に含んだ瞬間に鼻腔を抜ける香りの量が圧倒的に異なる。昭和レトロへの愛着をベースにしながらも、味覚の洗練度合いはまったく新しい次元に到達している。