パンダエクスプレスが日本に足を踏み入れたのは、実は2016年が初めてではありません。1990年代前半、神戸ポートアイランドなどに鳴り物入りで初進出を果たしたものの、当時は数年足らずで静かに日本市場から撤退した歴史を持ちます。
当時の日本外食市場は、ラーメンや餃子、麻婆豆腐を中心とする「日式中華(町中華)」や、本格的な四川・広東料理が絶対的なスタンダードでした。そこへ登場した「酢豚のように甘酸っぱく、主食にフライドチキンを合わせる」というアメリカナイズされた中華料理(アメリカンチャイニーズ)は、当時の一般的な日本人の味覚や食事観と大きな乖離があったと外食産業アナリストは指摘します。
潮目が変わったのは2010年代以降です。海外渡航経験者の増加、ハリウッド映画や海外ドラマに登場する「四角い紙ボックス(オイスター・ペイル)の中華」への憧れ、そして何より食の多様化とジャンクフードカルチャーの成熟が進みました。この消費者意識の変化を捉え、パートナー企業選定と立地戦略を徹底的に見直したことが、2016年以降の快進撃を支える最大の勝因となりました。