九州と四国を渡るルートを検討する際、ネット上でしばしば見られるのが「国道九四フェリー(佐賀関〜三崎)の方が乗船時間が短くて絶対にお得」という単純化された言説です。しかし、この比較には見落とされがちな重大な盲点が存在します。
確かに佐賀関〜三崎間の乗船時間は約70分と短く、運賃も安価に設定されています。しかし、愛媛側の佐賀関航路の到着地である三崎港は佐田岬半島の先端に位置しており、そこから八幡浜市街地や松山自動車道の大洲ICへ出るためには、起伏とカーブの続く国道197号(佐田岬メロディーライン)を約40km(約50〜60分)自走しなければなりません。加えて大分側も、大分市街地から佐賀関半島まで一般道を長く走る必要があります。
一方、臼杵港発の八幡浜便であれば、東九州道・臼杵ICから港までわずか10分少々でアクセスでき、八幡浜港に到着後もすぐに整備された幹線道路経由で高速道路へと接続できます。海上での2時間15分は、ドライバーが完全にハンドルを離して仮眠や入浴、食事をとれる「完全な休息時間」へと変わります。「陸路運転による疲労蓄積と事故リスク」をトータルで計算した場合、臼杵〜八幡浜航路が選ばれ続ける構造的な強みはここにあるのです。