「三重の筏で今、どこへ行けば確実に竿が曲がるのか」――。週末の釣行を控えたアングラーが最も切望するこの疑問に対し、三重外湾漁業協同組合の定置網水揚げデータや各渡船組合の出船ログ、現地釣具店の検量記録を突き合わせると、明確な釣果の偏在と必然性が浮かび上がります。
2026年の傾向として、チヌの数釣りおよび良型狙いにおいて頭ひとつ抜けた釣果を叩き出しているのが、鳥羽・本浦(もとうら)周辺の牡蠣養殖エリアです。地元船頭の手記や現場取材によると、本浦湾内のカキ筏周りは貝の掃除屑や付着生物が日常的に海中へ脱落しており、チヌにとって巨大な天然の給餌場と化しています。やま栄渡船などの老舗では、初冬から春先にかけてカキ殻ごと落とし込む「カキチヌ釣法」で、年無し(50cm以上)を含む二桁釣果が連日記録されています。
一方、アオリイカ狙いにおいて絶対的な支持を集めているのが南伊勢町・迫間浦(はさまうら)から五ヶ所湾一帯です。湾奥でありながら外海からの黒潮分流が差し込み、活きアジを泳がせるヤエン釣法においてキロアップから2キロクラスの出現率が際立っています。迫間浦の宝成渡船や澤村渡船周辺の筏は水深が12〜18メートル前後と適度で、海底の起伏に藻場が点在するため、春の産卵期と秋の新子期ともに極めて濃密な魚影を保持しています。
大型チヌの夢を追うベテランがこぞって足を運ぶのが尾鷲・古江エリアの大ちゃん渡船などです。水深20〜30メートルに達するディープエリアに設置された筏では、60センチを超える「ロクマル」と呼ばれる規格外の巨チヌが定期的に仕留められています。水深ゆえのダンゴコントロールの難易度は高いものの、海底に潜むモンスターのコンタクト率は県内随一と評価されています。