プレゼンテーションの最後を飾るスライドに、大きなフォントで「ご清聴ありがとうございました」とだけ書かれたスライドを配置する習慣は、長らく日本企業のフォーマットとして定着していました。しかし、米大手テック企業や戦略コンサルティングファームを起点に、この慣習を「スライドの無駄遣い(機会損失)」と捉える動きが主流になっています。
決定的な理由は、プレゼンテーション終了後の「質疑応答(Q&A)の時間」にあります。発表が終わった後、質疑応答やディスカッションが行われる約10〜20分間、プロジェクターや共有画面には「最終スライド」が表示され続けます。その貴重な画面スペースに「感謝の挨拶」だけが映し出されている状態は、視覚的な情報提供の観点から非常に非効率です。
第一線で活躍するプレゼンテーションデザイナーや情報設計の専門家は、次のように指摘します。「プレゼンの結びの言葉は口頭で心を込めて述べれば十分であり、スライドには聞き手が質問しやすいサマリー(要約)や、次にとるべき行動(CTA: Call to Action)を残しておくべきだ」。これが、現代のビジネスプレゼンにおいて「ご清聴スライド不要論」が支持される最大の構造的要因です。