提示された金額は、一説には30億ドル(約4500億円)とも言われる。並の起業家なら、即座にサインしてリタイア生活を選ぶだろう。だが、彼は違った。交渉の席で、相手側の役員が「我々の傘下に入れば、世界中のデータが手に入る」と囁いた瞬間、彼の心は決まったという。「データは誰かのものではない。人々に帰属すべきだ」。その一言を残し、彼は席を立った。
この決断は、単なる若気の至りではない。むしろ、徹底的に計算された戦略に基づいている。業界関係者は、彼のこの行動を「巨大プラットフォーマーに対する宣戦布告」と受け止めた。東京・渋谷の雑居ビルに拠点を置く小さなチームが、世界のルールを書き換えようとしているのだ。