歴史の重みは、時に若い世代にとって「敷居の高さ」や「古臭さ」に映ることがある。だが、一の湯はこの課題を見事にクリアした。登録有形文化財に指定されている本館のクラシカルな建築美をそのままに、新進気鋭の日本人アーティストによるモダンアートを随所に配置したのだ。
ギシギシと鳴る廊下の床板、歴史を感じさせる梁の質感。そこに突如として現れる現代的な色彩。このコントラストが、SNS世代のクリエイターたちの感性を刺激している。古いものを壊すのではなく、新しい光を当てることで、空間そのものが立体的なストーリーを語りかけてくるようだ。