「かくかくしかじか」は、漢字で「斯く斯く然然」と表記します。物事の詳しい事情や経過をあらかじめ双方が承知している場合や、細部の説明を省略して手短に要点を伝える際に用いる語句です。
語源を紐解くと、指示代名詞「斯く(かく=このように)」を反復した「かくかく(斯く斯く)」と、「然り(しかり=そのようである)」を重ねた「しかじか(然然)」が複合した形です。平安時代の『大鏡』や『源氏物語』など古典文学の時代から、話の重複を避けるための洗練された話術・修辞として使われてきた歴史があります。
よく比較される表現に「これこれしかじか(此れ此れ然然)」があります。意味合いはほぼ同等ですが、明確なニュアンスの差異が存在します。
- 「かくかくしかじか」:古語の「斯く」に根ざしており、やや改まったトーンを持ちます。文章語やビジネスの口述、物語の語り手による客観的な状況整理として馴染みます。
- 「これこれしかじか」:現代語の指示代名詞「これ」を重ねているため、より口語的で身近な事象を指す際に使われやすい傾向があります。
ビジネスの現場で「斯く斯く然然の次第でございます」と使う際は、相手がすでに背景を大枠で把握していることが大前提です。まったく前提を共有していない相手に使うと「説明を端折られた」と不快感を与えかねないため、話の前提条件を見極めることが肝要です。