倍速視聴やタイパ(タイムパフォーマンス)が叫ばれる現代社会において、この店が提供する体験は真逆を行く。何万点もの商品が雑多に積み上げられた店内を、何時間もかけて歩き回る行為は、効率性とは無縁だ。しかし、この「無駄な時間」こそが贅沢な娯楽として再評価されている。
整理整頓されたECサイトでは、自分が欲しいものしか目に入らない。一方で、迷路のような通路を彷徨っていると、かつて幼少期に遊んだ懐かしいおもちゃや、存在すら知らなかったマイナーな漫画に出会う。この「偶然の出会い(セレンディピティ)」がもたらす脳内麻薬のような快感こそが、人々をリピーターにさせる最大の秘密だ。