国生み神話の真相|なぜ淡路島が最初なのか?古事記の謎を徹底解明

国生み神話の真相|なぜ淡路島が最初なのか?古事記の謎を徹底解明

国生み神話の真相|なぜ淡路島が最初なのか?古事記の謎を徹底解明についての最新情報を徹底解説します。

儀礼の直後に生まれた最初の子は、骨のない不完全な体をした「蛭子(ヒルコ)」でした。二柱はこの子を我が子として数えず、植物の葦(あし)で編んだ舟に乗せて無慈悲にも大海原へ流してしまいます。続いて生まれた「淡島(あわしま)」もまた、正統な島(国土)とは認められず、生んだ子の数には数えられませんでした。

なぜ神話において、全知全能のはずの神々が手痛い失敗を経験しなければならなかったのでしょうか。途方に暮れた二柱が高天原へ戻り、天つ神に事の次第を問うと、神々は鹿の肩甲骨を焼いて吉凶を占う「太占(ふとまに)」を行いました。下された神託は冷徹なものでした。「女が先に声をかけたのがよくなかった。改めてやり直しなさい」。

現代の家族社会学やジェンダー構造の視点からこのエピソードを解剖すると、きわめて興味深い歴史的暗号が読み取れます。古代日本において、かつて有力であった母系社会(女性シャーマンによる祭祀主導)から、軍事力や開拓を軸とする父系社会(男性王権)へと権力構造が移行するプロセスで生じた「儀礼の規範化」を物語っているという分析です。女性が主導権を握った結果生まれた蛭子が「形を成さないもの」として排除された事実は、社会秩序を父系原理に統一しようとしたヤマト王権のイデオロギーが色濃く反映された痕跡と捉えられます。

なお、流されたヒルコは悲劇の神として消滅したわけではありません。中世以降、ヒルコは海から寄り来る神、すなわち豊漁や商売繁盛をもたらす「えびす神(夷・戎)」と習合し、現代に至るまで西日本を中心とする商業圏で篤く信仰され続けています。「挫折の象徴」が時代を経て「富と再生の神」へ昇華した点に、日本人の信仰心のしたたかな受容性がうかがえます。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。