転職時の入社手続き書類として「年金手帳の原本またはコピー」を提出するよう指示され、青ざめる求職者は今も多い。SNSや大手Q&Aサイトを調査すると、「手帳が見つからず内定取り消しになるのではないか」「紛失が会社にバレて怒られるのが怖い」といった悲痛な書き込みが数多く確認できる。
労務現場の実態を取材すると、企業側が求めているのは手帳という紙の物体ではなく、被保険者記録を特定するための「基礎年金番号」に他ならない。昭和・平成期の人事管理マニュアルが改訂されないまま、惰性で「年金手帳の提出」と案内を出し続けている企業が依然として散見されるのが実情だ。
会社から提出を求められた際、手元にない場合の対処法は極めてシンプルである。人事担当者に対し、「年金手帳を紛失しているため、基礎年金番号(またはマイナンバー)で手続きをお願いします」と伝えるだけで法的に問題なく処理される。現在、雇用保険や厚生年金の取得手続きはマイナンバーを用いて行政機関に申請可能となっており、手帳現物がないこと自体を理由に不利益を被る法的根拠は一切存在しない。