「大人は抗体があるから溶連菌にはかかりにくい」という認識は、現代の医療現場では通用しません。日本感染症学会や関連研究機関の疫学調査によると、小児が家庭内に溶連菌を持ち込んだ場合における大人の感染確率は20〜50%に達すると算出されています。実に家族の2人から3人に1人が二次感染の被害に遭っている計算です。
大人が感染した際、しばしば子ども以上に激烈な苦痛を伴います。大人の咽頭組織は毛細血管やリンパ組織が成熟している分、過剰な免疫応答が起こりやすく、唾液を飲み込むことすら困難な「焼けるような喉の痛み」や39度を超える急激な発熱に苛まれます。育児や仕事による睡眠不足、慢性的なストレスは咽頭の粘膜バリアを破壊し、二次感染のリスクを跳ね上げる決定打となります。
家庭内において一気に感染が拡大する背景には、日常生活に溶け込んだ「無意識の唾液接触」があります。激しい咳をしていなくとも、夜間に同室で就寝する際の呼気、寝具への付着、看病時の至近距離での会話などが濃厚な感染経路として機能します。親子のスキンシップや看病行為そのものが、皮肉にも感染を媒介するトリガーとなってしまう現実があります。