電撃引退の際、成宮寛貴が遺した直筆コメント全文には、薬物疑惑の否定とともに、自身の最も繊細なプライバシーを暴かれたことに対する耐え難い絶望が綴られていました。
「全ての原因を作ったのは自分自身だと承知しております。心から信頼していた友人に裏切られ、複数の人達が仕掛けた罠に落ちてしまいました。」
「仕事に関係する方々や家族、ファンの皆様へこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。今すぐこの芸能界から消え去りたい。」
とりわけ多くの人々に衝撃を与えたのは、「今後これ以上自分のプライバシーが人の悪意により世間に類(さら)され続けると思うと、自分にはもう耐えられそうにありません。絶対に知られたくないセクシャリティな部分もクローズアップされてしまい……」という告白でした。
当時、日本社会ではまだ「アウティング(本人の合意なく性的指向や性自認を第三者が暴露する行為)」に対する法的な議論やメディア倫理の意識が十分ではありませんでした。しかし、この事件を契機に、本人の意思を無視してセクシャリティをゴシップとして消費する週刊誌報道のあり方に対し、法曹界や人権団体から強い批判の声が噴出することとなったのです。