TBS系列で放送された歴代『水戸黄門』シリーズにおいて、歴代の主役俳優たちに合わせて杖の形状や扱い方にも細かなこだわりが反映されてきました。
初代・東野英治郎氏の時代は、無骨で節の凹凸がはっきりとした力強い藜杖が採用され、頑固でありながら温かみのある御老公像を際立たせました。続く二代目・西村晃氏のスマートな佇まいや、三代目・佐野浅夫氏の慈愛に満ちた「泣き黄門」の演技においても、杖は感情を表現する重要な小道具として機能しています。
五代目を務めた里見浩太朗氏の時代には、殺陣の所作の美しさを引き立てる洗練されたフォルムの杖が用意されました。歴代のどのシリーズにおいても、一本一本職人の手作業で選別・加工された本物のアカザが使用されており、時代劇黄金期の美術スタッフの情熱が息づいています。