動物病院で気管虚脱と告げられた際、まず知っておくべきは「気管虚脱そのものが直ちに余命を決定づけるわけではない」という事実です。気管虚脱は、空気を通す気管軟骨が本来の筒状を維持できず、平らにつぶれてしまう病気です。病態の進行度は、気管の内腔がどれだけ狭窄しているかによって、主に以下の4つのステージに分類されます。
ステージ1(内腔の狭窄率約25%以下)やステージ2(狭窄率約50%)の初期段階で早期発見できれば、気道拡張薬や抗炎症薬を用いた犬の気管虚脱の内科的治療薬によるコントロールと生活習慣の見直しによって、他の健康な犬と変わらない寿命(天寿)を迎えることが十分に可能です。
一方で、犬の気管虚脱がステージ4(狭窄率75%以上、気管の上下が完全に接触)まで進行すると、わずかな興奮や気温上昇でも重篤な酸素不足に陥り、窒息死や熱中症類似の急変を引き起こすリスクが高まります。臨床現場において「余命数ヶ月」といった宣告がなされるケースの多くは、このステージ4に至り、肺高血圧症や慢性気管支炎、心不全などの複合的な合併症を併発している状態を指します。
特にポメラニアンの気管虚脱と寿命の関連性については、遺伝的な気管軟骨の脆弱性が指摘されており、若齢期(2〜3歳)から発症する事例も報告されています。また、チワワの気管虚脱による呼吸困難やトイ・プードル、ヨークシャー・テリアなどの超小型犬種は、気管がもともと極めて細いため、早期からの進行予防が寿命を大きく左右します。