「予備校に通わず、市販の基本書と判例集だけで予備試験に独学合格できるのか」という問いに対し、取材に応じた大手予備校講師や現役法曹の回答は極めて現実的です。「法律の素養がゼロの状態からの完全独学合格は、統計上0.5%以下の確率を引くような賭けに近い」というのが偽らざる現場見解です。
独学が破綻しやすい構造的要因は、「自分の答案の誤りを客観視できないこと」に起因します。短答試験であればマークシートであるため丸付けは自力で完結しますが、論文式試験は採点基準が非公開の相対評価です。自分の書いた法的論述が「なぜ減点されるのか」「どの規範の当てはめが雑なのか」は、合格者や専任プロの添削指導を受けなければ修正のメドが立ちません。
近年の司法試験予備校事情を俯瞰すると、伊藤塾が長年培った圧倒的な合格実績と網羅性で法曹界に強固な学閥とネットワークを形成し続ける一方、アガルートアカデミーが「オンライン特化・手厚い個別指導・論証集のコンパクト化」を武器に予備試験合格者の占有率を急速に伸ばしています。さらに、BEXAや資格スクエアをはじめとする後発プラットフォームが単科講座や要点演習を細分化して提供し、受講生のライフスタイルに応じた選択肢が広がっています。独学に固執して5年も10年も停滞する精神的・経済的リスクを天秤にかければ、定評ある指導機関のシステムをペースメーカーとして活用する判断が主流派を占めるのは必然といえます。