「かわいいドラクエモンスター」を語る上で、避けて通れないのが公式が意図的に仕掛けた「ブラックユーモアとダークな裏設定」です。ネット上では時折「ドラクエのモンスターは子供向けで無邪気なデザインばかり」という浅い言説が見受けられますが、これは完全な誤解です。
筆頭に挙げられるのが、ピンクのアイドル的存在であるモーモンの真の生態です。ゲーム内の図鑑や豆知識を熟読すると、「愛くるしい顔で旅人に油断させ、近づいた者の首筋へ飛びかかって生き血をすする獰猛な魔物」であることが明記されています。戦闘中、ダメージを受けると突如として鋭い牙を剥き出し、凶暴な形相へと豹変するモーションに、初見で戦慄したプレイヤーは少なくありません。
また、DQ4に登場した心優しいホイミスライムのホイミンが「人間になりたい」と願い続け、ライアンの仲間として献身的に戦った感動的なシナリオの裏で、モンスター図鑑には「同族の肉を食べて生き延びる」といった過酷な自然界の掟を思わせるフレーズが紛れ込んでいることもあります。
堀井雄二氏が監修するドラクエワールドの本質は、「メルヘンチックな可愛らしさ」と「冷酷なRPG世界のリアリズム」の絶妙な共存にあります。単に甘いだけではない、毒気や哀愁を内包しているからこそ、大人の鑑賞にも耐えうる深みと中毒性を保ち続けているのです。