移住や多拠点生活を考える読者にとって最も気になるのは、パンフレットには書かれていない「日常のリアル」でしょう。SNSや掲示板、Q&Aサイトに集まる阿久根市住みやすさネットの反応を精査し、現地在住者のインタビューと照合しました。
肯定的な意見として圧倒的に多いのは、「食のクオリティと生活コストの低さ」です。「スーパーで並ぶ刺身の鮮度と安さが東京のデパ地下以上」「近所から魚や野菜のおすそ分けを日常的にもらえる」「海の見える一軒家が信じられない家賃で借りられた」といった声は誇張ではなく、日常の風景として定着しています。また、保育所や小学校の待機児童がゼロであり、先生や地域住民の目が子どもたち一人ひとりに行き届く安心感を挙げる子育て世代も目立ちます。
一方で、手厳しい現実を指摘する声も確実に存在します。その筆頭が「完全な自動車社会であること」です。肥薩おれんじ鉄道が運行しているものの、日常の買い物や通院、子どもの送迎には自家用車が必須であり、一家に2台の所有が基本となります。また、海沿い特有の「塩害」による自動車やエアコン室外機の錆びやすさ、冬季に東シナ海から吹き付ける強い季節風に対する建物のメンテナンス意識など、都市部では意識しなくてよいコストと労力が求められます。