ネット上の口コミや移住者向け情報サイトにおいて、しばしば見受けられるのが「群馬県内は鉄道ダイヤが粗密なため、どこへ行くにも自家用車が最速かつ最安」という言説です。しかし、桐生・伊勢崎間に関して言えば、この主張は構造的な誤解に基づいています。
この誤解が生じる根本原因は、「車はドア・ツー・ドアで移動できる」という感覚的なメリットだけに囚われ、運転に伴う認知コスト・渋滞損失時間・付帯費用を過小評価している点にあります。
実際に現地を走ると、桐生市中心部から伊勢崎市街地へ抜けるルート上には、交通量の多い主要交差点(阿左美、岩宿、流通団地前など)が連続します。特に雨天時の夕方ラッシュでは、わずか15km強の移動に50分以上拘束されることが日常茶飯事です。ハンドルを握り続け、追突事故や歩行者の飛び出しに神経をすり減らすストレスは決して軽視できません。
対するJR両毛線は、着席してスマートフォンでニュースを閲覧したり、読書や仮眠をとったりしている間に、わずか15分で目的地の駅ホームへ滑り込みます。「移動時間を自己投資や休息の時間に転換できる」という時間価値(タイムパフォーマンス)の観点からも、電車の実効価値は車のそれを遥かに凌駕しています。