桐麺の創業者である桐谷尚幸氏は、関西屈指の鶏白湯の名店「ラーメン人生JET」で店長や統括を歴任した凄腕の職人です。名門で培った確かな技術と独自の感性を武器に、2014年12月に大阪市淀川区三津屋北(神崎川駅近く)に桐麺本店をオープンさせました。超高加水の自家製麺と濃厚な鶏白湯スープが瞬く間に評判を呼び、関西を代表するトップランカーへと駆け上がります。
順風満帆に見えた大阪時代ですが、店主が長年抱いていたのは「より究極の自家製麺を追求できる理想の環境作り」という強い職人気質でした。都市部の限られたテナントスペースでは、大型の製麺機器導入や徹底した温度・湿度管理、そして麺作りの生命線となる良質な水源の確保に物理的な限界がありました。
関係者への取材や当時の店主コメントによると、移転の決断は単なる郊外シフトではなく、「水が清らかで自然豊かな土地に腰を据え、唯一無二の麺工房を創り上げたい」という長年の夢を具現化するための前向きなステップでした。絶頂期での大阪本店閉店はファンを驚かせましたが、それは妥協を許さない麺職人としての原点回帰であり、次なるステージへの挑戦だったのです。