レザーの頂点に君臨する素材として「King of Leather」の異名をとるのが、馬の臀部内部に存在する緻密な繊維層を削り出したコードバンです。一般的な牛革が皮膚の表面(銀面)を使用するのに対し、コードバンは表皮を丁寧に削り進めた先に現れる、厚さわずか1ミリから2ミリ前後の高密度なコラーゲン層(コードバン層)だけを裏側から掘り起こして仕上げます。
その発掘作業が鉱山の採掘に酷似していること、そして磨き上げた表面が放つ硬質で透明感のある光沢から、別名「革のダイヤモンド」とも呼ばれています。農耕馬の減少に伴い、コードバン層を十分に持つ原皮の流通量は年々減少の一途をたどっています。食肉用の大型馬からしか採取できず、1頭から採れる面積は財布数個分という極めて限られた歩留まりが、名実ともに最高峰に位置づけられる最大の要因です。
さらに「King of Leather」という呼称は、1947年にアメリカ・オレゴン州ポートランドで創業したライダースジャケットの最高峰「ラングリッツレザーズ(Langlitz Leathers)」が掲げてきた歴史的な称号でもあります。過酷なレースに耐えうる頑強なカウハイドやゴートスキンを使い、職人が手作業で仕立てる同社の製品は、モーターサイクル史における「革の王様」として世界中のバイカーからリスペクトを集めてきました。素材としてのコードバンと、クラフトマンシップとしての歴史的ブランド、双方がそれぞれの領域で「王」の座を築き上げています。