ネット言説では「団塊の世代は逃げ切り世代であり、手厚い厚生年金と退職金、不動産を抱えた裕福な老人ばかりだ」という論調が目立ちます。しかし、公的統計と現場の取材データが示す実態は、単純なステレオタイプとは大きく乖離しています。
厚生労働省「年金制度基礎調査」によると、団塊世代を含む70代後半の平均的な公的年金受給額は、夫婦2人の標準世帯で月額約21万〜23万円前後、単身世帯では月額約13万〜15万円程度です。自営業や非正規雇用の歴史が長かった国民年金のみの受給者では、満額でも月額6万数千円にとどまります。
金融広報中央委員会の実態調査でも明らかなように、団塊世代は「金融資産3,000万円以上を保有する富裕層」と「貯蓄数百万円未満、あるいは金融資産非保有で日々の年金のみで生活をつなぐ層」への二極化がどの世代よりも激しく進行しています。持家率こそ8割を超えているものの、築40年以上の耐震・断熱性能の低い実家を持て余し、リフォームや解体の費用すら捻出できない「資産の固定化・空き家予備軍問題」が顕在化しているのが偽らざる現実です。