科学的には「全脳のネットワーク」が動いているとはいえ、現実の社会生活において思考の癖による摩擦が消えるわけではありません。実際のビジネス現場やSNSのコミュニティで交わされる生の声からは、直感派と論理派のコミュニケーションギャップが浮き彫りになっています。
大手ITベンチャーでクリエイティブチームを率いる30代のアートディレクターは、社内インタビューで次のような体験を語っています。
「新規サービスの立ち上げで、画面全体の空気感やユーザーが感じる心地よさを直感的にスケッチして提案したところ、経営陣から『そのデザインがCVRを何%改善するのか、過去のデータで根拠を示せ』と詰められ、言葉に詰まってしまった。頭の中では明確に見えているのに、言語化と定量化が追いつかない。結局、ロジカルシンキングが得意なプロジェクトマネージャーに入ってもらい、自分の直感を数値と言葉に翻訳してもらうことで初めて企画が通った」
また、知恵袋やSNSなどの投稿を分析すると、「直感で突き進む夫と、Excelで家計や旅行計画を1分単位で管理したい妻との衝突」といった家庭内の摩擦に関する相談が多数寄せられています。「言葉にしなくても察してほしい」と願う感覚重視のスタンスと、「言葉や数字で言ってくれなければわからない」とする論理重視のスタンスの食い違いは、多くの人間関係でストレスの火種となっています。
直感的な着想は推進力の源泉ですが、それを他者に届けるためには、共通言語である論理の橋を架けなければ組織やパートナーシップは機能しません。