本書の後半で今西聖貴氏が担当する確率思考の戦略論 数式 解説パートは、多くのマーケターに衝撃を与えました。消費者が商品を購入する行動パターンは、統計学における負の二項分布 モデル(NBDモデル / Negative Binomial Distribution)およびディリクレ積モデルに従うことが示されています。
負の二項分布とは、一定期間における事象の発生回数のばらつきを表す確率分布です。この数理モデルを市場データに当てはめると、ある残酷な現実が浮き彫りになります。
- ブランドの購入回数は、熱狂的なコアファンだけでなく、大多数の「年に1回しか買わないライトユーザー」によって支えられている。
- ロイヤルティ向上施策(囲い込み戦略)だけで持続的な売上増を達成することは、確率統計的にほぼ不可能である。
- 市場シェアを拡大するには、自社をめったに選ばない「浮気層・ライト層」のプレファレンスを底上げするしかない。
多くの企業が「ファンマーケティング」や「ロイヤルティプログラム」に傾倒して売上を頭打ちにさせてしまうのは、この市場構造の法則を無視しているためです。確率統計の視点から見れば、真の成長エンジンは常に「非購入者」と「ライトユーザー」の獲得にあります。