長年ファンの間でも混同されがちだったのが、「TV版のウイングガンダムゼロ」と「EW版」の系譜関係です。インターネット上の一部では「TV版を改修・強化したパワーアップ機」と誤解されるケースが散見されますが、公式設定における本質は異なります。
『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』の制作当時、物語世界内の機体は「最初からすべてEW版のデザインで存在していた」という、パラレルワールド的リファインの手法が採られました。つまり、設定上の機体性能や歴史的立ち位置はTVアニメ本編のゼロと全く同一であり、ビジュアル表現の解釈を変えた存在だったのです。このため、当初はTV版にあった高速巡航形態「ネオバードモード」の変形機構はオミットされ、大気圏突入は翼で身を包むことによって完結する設計となっていました。
しかし、この設定の溝を埋めたのが、カトキハジメ氏自身がメカデザインとプロデュースに深く関わった月刊ガンダムエース連載コミック『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』です。同作において、EW版のデザインラインを保ったまま大気圏内外への突入・高速移動を可能にする「ウイングガンダムゼロEW ネオバード形態」が新たに設定・描画されました。かつてのパラレル解釈とTV版のギミックが緻密に統合されたことで、ファンの長年の疑問は解消され、立体物におけるプレイバリューの飛躍へと繋がっていったのです。