本作の最終回において、最も読者を戦慄させたのが「プンプンが死ねなかったこと」そのものです。愛子を失い、自らの人生を完全に破壊し尽くしたプンプンにとって、死はむしろ唯一の救済であり、愛子への贖罪でもありました。しかし、彼に下された現実は「生き延びてしまうこと」だったのです。
浅野いにお氏自身も完結後のインタビューにおいて、この結末について「プンプンを死なせるのは簡単だが、彼にとって最も残酷なのは、罪を背負いながら平凡な社会で生き続けさせることだった」という趣旨を明かしています。愛子という絶対的な存在を永遠に失い、自らが犯した罪や過去の傷を抱えたまま、何事もなかったかのように流れる日常を呼吸し続けなければならない。これこそが、本作が提示した生き地獄の真の意味に他なりません。
死んで伝説になることすら許されず、みっともなく歳を取り、過去のトラウマを忘れそうになる自分に怯えながら生きていく。劇的な破滅よりも、ぬるま湯のような日常に閉じ込められることの方がはるかに過酷であるという作者の冷徹な人間観が、このラストの考察における最大の核となっています。