愚痴は吐き出せばスッキリする、というのは大きな誤解である。脳科学や心理学の研究によれば、愚痴を言うたびにストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、脳は「不満を探すモード」へと再配線(リワイヤリング)されていく。
つまり、不満を口にすればするほど、脳はますます世の中の「悪い部分」にしか目がいかなくなるのだ。最初は軽口のつもりだった愚痴が、やがて認知の歪みを生み、「自分は常に被害者である」という悲劇のヒロイン・ヒーロー気取りの思考を固定化させる。この思考回路に陥った人は、どんな恵まれた環境を与えられても次なる不満を見つけ出し、自ら不幸を再生産し続けることになる。