1970年代初頭の日本音楽界において、キャロルの登場はまさに衝撃そのものでした。デビュー曲「ルイジアンナ」や大ヒット曲「ファンキー・モンキー・ベイビー」など、スピード感あふれるロックンロールがバンドの代名詞とされがちですが、彼らの音楽的真骨頂はバラードにこそ表れています。
アルバム『情熱の男』(1974年)やシングルB面曲として世に出た「二人だけ」の作曲者は矢沢永吉、作詞はジョニー大倉です。矢沢が紡ぎ出す甘く哀しいメロディラインに対し、ジョニー大倉は英語と日本語が自然に入り混じる独自の口語表現で詞を乗せました。当時の歌謡曲には存在しなかった「洋楽のドゥーワップや初期ビートルズの質感を持つ日本語バラード」という新境地を、完全に切り拓いた瞬間でした。
自著や当時の回想録において矢沢自身が語っているように、彼は当時から「日本人が聴いて身体が揺れる、泣けるメロディ」を極限まで追求していました。ジョニー大倉の書くナイーブでロマンチックな歌詞と、矢沢のウェットかつ力強いボーカルが交差する「二人だけ」は、男の脆さと純情を浮き彫りにし、熱狂的な支持を集めることになります。