「今すぐ江川海岸に行けばあの景色が見られるのか」という問いに対しては、海中電柱そのものはすでに撤去されているというのが現場の事実です。かつて海の中に整然と並んでいた電柱群は、2019年秋から2020年にかけて安全対策の一環としてすべて抜き取られました。
元々これらの電柱は、アサリやハマグリなどの密漁を監視する「密漁監視小屋」へ送電するために1970年代に建てられた実用設備でした。しかし、小屋自体の閉鎖と送電線の役目終了に伴い、長年の海水浸食によってコンクリートの劣化や鉄筋の露出が進み、倒壊の危険性が生じたことが江川海岸 電柱撤去 理由です。観光客の急増による安全確保の観点からも、木更津市や漁協関係者によって撤去の決断が下されました。
では、現在の江川海岸は見に行く価値がないのでしょうか。取材班が定点観測を続ける現地では、電柱がなくなった今もなお、東京湾越しに富士山を望む夕景と対岸の京葉工業地帯の工場夜景が水面に映り込む絶景スポットとして高い人気を誇っています。遮るもののない広大な干潟と空が織りなすグラデーションは、電柱の有無にかかわらず息をのむ美しさです。