言葉は生き物であり、時代とともにその姿を変える。テレビやメディアでも親しまれる国語学者の金田一秀穂氏は、厳格な文法ルールだけでなく、現代人の「感性」や「情景が目に浮かぶかどうか」という視点の重要性を説く。
金田一氏の論理を紐解くと、人間に対して「出合う」を使ってしまうと、まるで二人の人間が物理的に衝突したかのような無機質な印象を与えてしまう危険があるという。逆に、絵画や音楽、あるいは特定の道具に対して「出会う」と表現することで、書き手がその対象に強い愛着やリスペクトを抱いているという情感を読者に届けることができる。文脈に合わせた戦略的な漢字選択こそが、読者の心を動かす表現力となる。