烏丸御池という京都の心臓部に位置しながら、一歩足を踏み入れれば英国調のアンティーク家具や重厚なファブリックが迎えてくれたホテルギンモンド京都。その創業は1969年(昭和44年)に遡り、高度経済成長期から平成、令和へと移り変わる京都の観光産業を最前線で支え続けてきました。
長年親しまれた同館が営業終了を選択した最大の要因は、築50年を超えた建物の老朽化問題です。1981年以前の旧耐震基準期に建設された建物を現代の安全基準や最新のバリアフリー要件、さらには省エネ性能へ適合させるには、数億円規模の大規模耐震改修・設備刷新が避けられない状況にありました。
折しも2020年代初頭の観光危機により、インバウンド需要が完全に途絶。当時の運営会社および関係者への周辺取材によると、莫大な改修費用を投じて事業を継続するよりも、半世紀の節目をもってホテルとしての役割を満了させるという苦渋の経営決断が下されました。京都のクラシックホテル閉鎖という流れは、単なる一企業の撤退ではなく、昭和期に誕生した都市型中規模ホテルの構造的限界を浮き彫りにした出来事でした。