話題の「マジックシティ」という言葉を紐解く上で、まず押さえるべきは都市史におけるルーツです。「マジックシティ(Magic City)」を直訳すると「魔法の都市」「奇跡の街」となりますが、この呼び名が世界的に定着した最大の契機は、アメリカ・フロリダ州マイアミの爆発的な発展史にあります。
19世紀末まで湿地帯が広がる寒村に過ぎなかったマイアミは、1896年の鉄道開通と市制施行を境に、わずか数十年で全米屈指の巨大リゾート都市へと変貌を遂げました。その驚異的な成長スピードを目の当たりにした当時の人々や不動産関係者が「まるで一夜にして魔法で出現したかのようだ」と称賛したことから、「The Magic City」という愛称が公式・非公式を問わず定着していきました。
一方で、アメリカ南部ジョージア州アトランタにおける「マジックシティ」は全く異なる文脈を持ちます。1985年にマイケル・バーニー氏によって創業された伝説のストリップクラブ「マジックシティ」は、単なる大人の社交場を超え、サザン・ヒップホップやトラップミュージックの世界的震源地となりました。フューチャー(Future)やドレイク(Drake)をはじめとするトップアーティストたちが未発表音源を店内でテストプレイし、フロアの熱気からヒットを予測するという特異な音楽エコシステムを確立したのです。